2015年08月



あの有名俳優が米国で中国のチベット弾圧を批判

熱を込めて語った不当逮捕や拷問、虐待の実態

2015.8.16(日) 古森 義久

 「チベットで多くの人々から尊敬されていた高僧、テレジン・デレク・リンポチェ師が中国政府に13年間も投獄された末、この7月12日に獄中で亡く なりました。彼はチベット社会で市民を救い、教育を広め、信仰を深めた高潔な宗教指導者でした。中国共産党政府はそんな人物を残酷にも終身刑に処していた のです」

 映画スターとして国際的な人気を誇る米国人俳優のリチャード・ギア氏が熱をこめて語った。7月14日に開かれた米国議会の公聴会での出来事である。


 公聴会の課題は「チベットと中国=新しい前進の道の模索」とされていた。米国の連邦議員たちが、中国政府によるチベットの民族や宗教に対する弾圧の実態を、専門家や当事者たちから聴取して、政府や議会へ政策勧告する際の指針にするのだという。


 米国でのこうした動きは、日本が対中外交の政略を立てるうえでもぜひとも知っておくべきだろう。
(つづく)

オバマ政権は70年談話に「お詫び」を求めていない

謝罪要求の圧力は存在せず、政権当局者の定例会見で明らかに

2015.8.11(火) 古森 義久
 
米政府、火力発電CO2規制案を発表 32%削減目標


オバマ政権は安倍首相の戦後70年談話に「お詫び」は求めていない。米ホワイトハウスで会見するバラク・オバマ大統領(2015年8月3日撮影)。(c)AFP/JIM WATSON〔AFPBB News



 安倍晋三首相がまもなく発表する戦後70年談話で、日本の過去の行動への謝罪(お詫び)が明確に含まれるかどうかが焦点となっている。


 だが、米国のオバマ政権は、「反省(Remorse)」の表明は期待はしても「謝罪(Apology)」の具体的な表明は求めてはいないことが、同政権当局者の8月7日の発言で明らかになった。

 中国や韓国、そして日本の一部では、「米国政府が安倍首相の謝罪表明を求めている」として圧力をかけているが、どうも実態は異なるようだ。

「首相の発言を予断することはしない」

 8月7日の定例会見におけるオバマ政権のマーク・トナー国務省報道官の発言を、質疑応答の原文のまま紹介しよう。政権全体の対外的な公式見解は、この国務省での報道官の発言に代表される。


 戦後70年談話について質問したのは米国人記者だった。


記者 「国務省当局は安倍首相が謝罪を述べることが必要だと考えていますか。それとも反省を表明すれば十分だとみなすのか。ダニエル・ラッセル国務次官補は7月21日に、ある趣旨の言明をしていますが」


報道官 「どんな趣旨の言明だったのですか」


記者 「反省を表明すれば十分だという趣旨でした」


(つづく)


国際  投稿日:2015/8/9

[古森義久]【日本の謝罪外交は完全に失敗】~歴史問題で和解する気のない中韓~


古森義久(ジャーナリスト/国際教養大学 客員教授)

「古森義久の内外透視」

執筆記事プロフィールBlog


安倍晋三首相の戦後70年談話での謝罪表明を求める先導役の朝日新聞が8月9日付社説になんとも興味を惹かれる主張を展開していた。


「聞く者の心に響かなければ談話を出す意味がない」


なんと情緒的な主張だろうと驚嘆した。「心に響く」とはどんな意味なのか。談話が聞き手の「心に響く」かどうかをだれがどう測るのか。そもそも誰の 心のことなのか。「心に響く」という曖昧な表現では、歓迎もあるし、怒りも、反発も含まれるだろう。


要するに一国の首相が内外に向けて出す談話のあり方の 基準を決める際に「聞く者の心に響かなければ」などという主観的で、その実、粗雑な言葉の打ち上げはなんの意味も持ちえないのである。


朝日新聞の社説を書く人たちはこんな感情だけがぐしょぐしょの態度で日本の国のあり方にかかわる首相談話を律し、斬ろうというのだろうか。ただし朝 日新聞の主張の結論はこの談話が「お詫び」などという表現での謝罪をはっきりと述べねばならないという点は明確だといえる。


この点は中国と韓国の政府の主 張とまったく同じである。謝罪を述べねば、中韓両国民の「心に響かない」というわけだ。ただし安倍首相がいくら謝罪を述べたとしても、「心に響かない」と いう反響がもうすでに用意されている感じもしてしまう。


アメリカのオバマ政権は安倍談話での謝罪表明は求めていない。公式の声明のどこをみても、日本の戦争行動への「反省」の表明くらいまでの期待は示唆 しても、「謝罪」を求めるという言葉はどの政府高官も口にしていない。


さらにアメリカ側の識者には日本は過去の戦争行動などへの謝罪はもう述べるべきでは ないと、明確に主張する声も存在する。オークランド大学の日本研究学者ジェーン・ヤマザキ教授は日本の謝罪を専門に研究し、2006年には「第二次大戦へ の日本の謝罪」という学術書にまとめて刊行した。


ヤマザキ教授は日本の謝罪は不毛であり、無意味だという結論を出し、これまでその趣旨の見解を何度も表明してきた。同教授は1965年の日韓国交正 常化以降の日本の国家レベルでの謝罪の数々を列挙して、「主権国家がこれほどに過去の自国の行動を間違いや悪事だとして外国に対して謝ることは国際的にき わめて珍しい」と述べた。


そしてアメリカはじめ他の諸国が国家としての対外謝罪を拒む理由として


(1)過去の行動への謝罪は国際的に自国の立場を低くし、自己卑下となる


(2)国家謝罪は現在の自国民の自国への誇りを傷つける


(3)国家謝罪はもはや自己を弁護できない自国の先祖と未来の世代の両方の評判を傷つける


―という 諸点をあげていた。


日本の謝罪についてはヤマザキ教授はその国家謝罪を外交手段とみるならば、完全に失敗だと断じるのだった。「日本は中国や韓国に何度も謝罪を表明し てきたが、歴史に関する中韓両国との関係は改善されていない。国際的にも日本は十分に謝罪していない、とか、本当には反省していない、という指摘が多い」 というのである。


ヤマザキ教授は日本の謝罪外交が成功するためのカギとして以下の点を強調していた。


「謝罪が成功するには受け手にそれを受け入れる用意が不可欠だ が、韓国や中国には受け入れの意思はなく、歴史問題で日本と和解する気がないといえる」


アメリカ側にもこうした見解があることを知るべきだろう。





ミス・カナダが中国政府の人権弾圧に“覚悟の抗議”

無事に出場できるのか?ミス・ワールド最終大会は中国で開催




2015.8.7(金) 古森 義久
ミス・カナダに選ばれたアナスタシア・リンさんは無事に最終大会に参加できるだろうか。写真はリンさんがミス・カナダに選ばれた瞬間。2015年5月



 ミス・カナダに選ばれた中国系女性が、米国の連邦議事堂で開かれた公聴会で、中国共産党政権の人権弾圧を激しく非難した。


 特に中国当局が邪教と断じてきた気功集団「法輪功」の信奉者に対する過酷な弾圧を取り上げ、中国に対して抗議するよう米国に求めた。


 ただし、この 女性が出場するミス・ワールドの最終大会は今年12月に中国・海南島で開かれる。女性が無事に出場できるのか心配する声があがっている。

迫害、殴打、拷問されている法輪功の信奉者

 米国の首都ワシントンの丘に建つ連邦議会の議事堂内の大きな会議室に、一輪の花が咲いたような光景だった。


 その会議室は、ダークスーツの議員たち をはじめ、証人も傍聴者も年配者や男性が多く、地味な色調で埋め尽くされていた。


 その中でただ1カ所、淡いクリーム色のジャケットのすらりとした若い女性 の姿は輝きを放つようだった。決して派手ではないが、その美しい容姿は、どうしても会議室の中で目立ち、異彩を放っていた。

 

 アナスタシア・リンさん、25歳、カナダのトロント大学で国際関係と演劇を専攻して卒業した中国系カナダ人の女性である。リンさんは中国の湖南省 で生まれ、13歳のときに母親に連れられ、移民としてカナダに渡った。中国名は林耶凡だが、いまでは完全なカナダ国籍である。


 カナダでは大学生時代から女 優として映画、テレビ、舞台などで活動してきた。

(つづく)



国際  投稿日:2015/8/6

[古森義久]【「原爆を神に感謝する」米紙論文】~根深い投下正当化論~


古森義久(ジャーナリスト/国際教養大学 客員教授)

「古森義久の内外透視」

執筆記事プロフィールBlog



   原爆が広島と長崎に投下されて70年、アメリカの大手紙ウォール・ストリート・ジャーナル8月5日は「原爆を神に感謝する」という論文を載せた。筆者は同 紙の論説副主幹ブレット・スティーブンス記者、国際問題評論で2013年にはピューリッアー賞を受賞した気鋭のジャーナリストである。


   この論文は「広島や長崎への原爆投下は日本を降伏させ、戦争を終わらせて、多数の日米国民の生命を救ったから絶対に正しかった」という主旨だった。 その投下の判断を神に感謝すべきだ、とまで断言するのだ。日本側としては受け入れ難い主張だが、原爆投下の是非をめぐっては日米両国間にはなおこれほど巨 大な断層があるのが現実なのである。


   同論文はまず第二次大戦の欧州戦線で戦ったアメリカの著名な歴史作家ポール・ファッセル氏が1945年夏に次は日本本土への米軍の上陸作戦への参加 を命じられ、死を覚悟していたときに、原子爆弾の投下で日本が一気に降伏したことを知り、命を救われた思いで喜ぶという経験談を紹介する。


   そしてスティーブンス記者は同論文で近年、主張される「原爆投下がなくても当時の日本は降伏したはずだ」「アメリカは被爆者に謝罪すべきだ」「核兵 器は廃絶されるべきだ」などという見解にそれぞれ反論し、現在41歳という戦後派の立場から「広島と長崎の悲劇は単に戦争終結を早める出来事だっただけで なく、多数の生命を救ったのだ」と強調した。


   そのうえで同記者は1945年の原爆投下以前の日米戦争では毎週7000人のアメリカ軍人が戦死していたとして、徹底抗戦を決意した軍国主義の日本 を降伏させたのは2発の原爆だとして、さらに「原爆は大日本帝国を平和主義活動家の国にしてしまった」という評価をも提示した。


   同記者の論文はさらに現在のアメリカの状況に触れて「米軍がもう勝利という概念を禁じるようになり、大統領がアメリカの力の執行を信じなくなり、国 民一般は自分たちが犯してもいない罪への謝罪意識を抱くようになったいま、原爆投下での教訓はとくに貴重なのだ」と述べ、力の行使の効用を強調した。その うえで「原子爆弾について神に感謝したい」と結んでいた。


   この論文はアメリカ側でのおそらく多数派の意見として日本への原爆投下は戦争を早期に終わらせるには必要だったという見解が存在することの例証だといえよう。


↑このページのトップヘ