2016年03月

金正恩は側近に殺される?米研究者がリアルに予測

「米韓は突発事態に備えよ」と提言

北朝鮮、核ミサイル技術未確立=米

朝鮮人民軍を視察する金正恩第一書記。北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)配信(撮影日不明、2016年3月11日配信、資料写真)。(c)AFP/KCNA/KNS〔AFPBB News


 ワシントンの北朝鮮研究専門家の間で、「金正恩第一書記の暗殺」という突然の事態に備えるよう米韓両国に提言する論文が話題を集めている。

 発端は、韓国系の若手研究者が金書記の暗殺の可能性を4種類の具体的なシナリオとして描いたことだった。その内容が米国の論壇で広く提起され、論議を呼ぶようになった。


 論議の出発点となったのは、米国の朝鮮半島研究学者らが発表の場とする学術誌「朝鮮研究国際ジャーナル」の最新号に掲載された「金正恩暗殺の可能 性に備える」という論文だった。筆者は韓国系の若手研究者で、ワシントンのジョージタウン大学の大学院に籍をおくスンミン・チョ氏である。


 チョ氏は、北朝鮮内部の不安定要因を考えると金書記の暗殺という可能性が十分にあり得ること、米韓両政府はその可能性に対応する行動指針などを決める必要があることを指摘していた。そのうえでチョ氏は、実際に起こりうる金書記暗殺の4種類のシナリオを提示した。


 すると3月23日、ワシントンで最大級の経済系シンクタンク「ピーターソン国際経済研究所」の北朝鮮研究部門が、それらのシナリオを「金正恩暗 殺」という報告書で紹介した。同経済研究所はワシントンの政策形成の専門家たちの間で強い影響力を持つため、「暗殺シナリオ」は広範な注視を集めるように なったのである。

(つづく)



.国際  投稿日:2016/3/27

DC日本大使館、チャイナ・スクール不在の怪 



     古森義久(ジャーナリスト・国際教養大学 客員教授)

「古森義久の内外透視」


ワシントンの日本大使館からチャイナ・スクールが消えた!


こんな現象が起きた。その意味を説明しよう。


日本外交にとって最重要な国はどこか。どの国も重要ではあるが、現実にはやはりアメリカだろう。日本が自国の防衛を頼る同盟国、そして世界でも唯一の超大国だからだ。


では二番目に重要な国はとなると、やはり中国ではないだろうか。アメリカとは異なった意味で日本の国運を左右しうる国である。とにかく日本は中国と の間で領有権紛争を抱えている。日本側からすれば紛争など存在しないのだが、中国が勝手に日本固有の領土の尖閣諸島を自国領だと宣言して、強引に領海侵犯 などを続けるのだ。


こうみてくると、アメリカと中国との関係はこれまた日本にとって超重要となる。米中関係の動きが日本を激しく揺さぶるのだ。その意味でワシントンで の日本外交は単にアメリカの動向を追うだけでなく、そのアメリカと中国のせめぎあい、さらには中国の対米外交のあり方を追うことが不可欠となる。だからこ そワシントンの在米日本大使館にはここ数十年、中国を専門とする外交官が配置されてきた。


日本の外交官で出発時から専門の外国語として中国語学習を命じられ、まず2年間、中国で言葉や習慣を実地に学ぶ人たちがいる。国家公務員の総合職だけでみると、毎年数人である。この外交官たちがチャイナ・スクールと呼ばれる。


その通称チャイナ・スクールは職務の主対象はあくまで中国だが、他の諸国にももちろん派遣される。本省で中国とは直接の関係のないポジションにも就けられる。もともと優秀な人たちだから中国以外の対象でも仕事は立派にこなす、というわけだ。


ワシントンの日本大使館は日本から送られてきた総合職の外交官だけでも常時100人以上、外務省だけでなく経済産業省、財務省、文科省など他の省庁 からの要員も多い。そんななかで外務省出身のチャイナ・スクール外交官がワシントンでの中国がらみの動向を追い、アメリカの対中政策をも把握するという枢 要の任務をゆだねられてきたわけだ。だがそのチャイナ・スクールがこの4月以降はゼロになってしまうという未曽有の事態が起きたのである。


在米日本大使館でもこれまで特命全権公使の泉裕泰氏がチャイナ・スクールだった。このポストは組織上、大使に次ぐナンバー2、次席公使とも称され る。泉氏はチャイナ・スクールの主流中の主流である。中国語の研修を受け、北京の日本大使館政治部長、本省の中国課長、上海の総領事などを歴任し、 2013年夏に赴任したワシントンでも拡大する中国の動きを細かに追ってきたようだ。だが泉氏が離任すると、在米日本大使館にはチャイナ・スクールの外交 官は皆無となってしまうのである。


同大使館にはチャイナ・スクールでなくても中国在勤の経験者もいるから中国関連の動向を効率よく追うことはできるだろう。だが中国語を駆使して、中国を熟知して、というチャイナ・スクールの機能ぶりとはどうしても異なってくる。


このチャイナ・スクール・ゼロの状況はこれまでの在米日本大使館の人事からみると奇異でもある。これまでは政治や経済のセクションに複数のチャイ ナ・スクールがいるのが普通だった。公使クラスでも、大使の秘書官でも、そうだった。次期の中国駐在大使に内定したチャイナス・スクール長老の横井裕氏が 二度もワシントン勤務をしたのもその代表例だった。


いまこそワシントンでの中国ウォッチが重要なのになぜこんな現象が起きるのか。大使館の上層部に直接にその疑問をぶつけてみたが、明確な答えはなかった。やはり日本外務省の単なる年功序列の硬直人事、柔軟性や機動性の欠落人事という印象だけが残るのだった。


悪評ふんぷん、またやらかした国連事務総長

武装勢力を擁護してモロッコ政府を怒らせる

2016.3.26(土) 古森 義久
潘基文国連事務総長(出所:Wikipedia)


   今年末に退任する韓国出身の潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が、米国のメディア上で「無能、軽率で不公正だ」と非難され、その言動が国連憲章に違反すると糾弾された。

 最近、潘総長は、モロッコが実効統治している西サハラ地域でモロッコと対立する武装組織に肩入れをする言動をとり、モロッコ政府の反発を招いた。 そうした言動をはじめとする潘総長の数々の失敗を明らかにした記事が「ウォール・ストリート・ジャーナル」に大きく掲載された。日本に対して公正さを欠く 言動をとってきた潘総長は、国際的にも悪評のようである。

潘総長が重ねてきたいくつもの失敗

 ウォール・ストリート・ジャーナル(3月21日付)は、「国連の軽率なリーダーがモロッコでまたまたやらかす」という見出しの寄稿記事を掲載した。副見出しは「潘基文は分離主義の反乱勢力を激励し、国連憲章をまたも裏切った」とあり、潘総長を厳しく非難する記事だった。


 記事の筆者は米国主体の外交政策機関「大西洋評議会」の役員で、モロッコの雑誌発行者のアハメド・チャライ氏である。チャライ氏はこの記事で、潘 総長は「国連の低い基準でみても非常に無能で不正に満ちた時代を画した」と断じる。そして、潘総長は2006年に現職に就いてから、制度的にも個人的にも いくつもの失敗を重ねてきたと評した。

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アルゼンチンが中国漁船を撃沈、拍手喝采した国は?

違法操業の中国船に軍事力行使、世界はどう伝えたのか

2016.3.23(水) 古森 義久
アルゼンチン、中国違法漁船を撃沈 警告無視し逃走・体当たり試み

アルゼンチン・プエルトマドリン沖で、同国の沿岸警備隊によって撃沈された中国漁船。沿岸警備隊ウェブサイトで公開された映像より(2016年3月15日公開)。(c)AFP/PREFECTURA NAVAL/HO〔AFPBB News



 3月14日、アルゼンチンの沿岸警備隊が中国漁船を撃沈した。アルゼンチン南部の大西洋上、同国の排他的経済水域(EEZ)内で違法操業をしていた中国漁船に、アルゼンチンの沿岸警備隊の艦艇が発砲し撃沈したという。

 自国の領海に中国船が侵入を重ねてもなんの実効措置もとらない日本とは対照的な対応である。日本人から見ると、アルゼンチンの対応は性急で強硬に 映るかもしれない。だが、国際社会ではアルゼンチンの軍事力行使を非難する声はあがらなかった。逆にベトナムでは拍手や歓声が起きたほどだという。


 アルゼンチン側を支持する国際世論が多いため、中国政府もなかなか強硬な報復策をとることができないようである。米国のオバマ大統領が3月23日にアルゼンチンを公式訪問することも、中国の姿勢に微妙な影響を与えそうだ。

「ベトナムもアルゼンチンを見習うべき」

 アルゼンチン当局の3月15日の発表によると、アルゼンチン沿岸警備隊は14日、首都ブエノスアイレスの南1300キロにあるプエルトマドリン地 区沖合のEEZ内で違法操業中の中国漁船を発見し、停船を求めた。だが、中国漁船はこれを無視して逃走した。沿岸警備隊が漁船を追ったところ、沿岸警備隊 の艦艇に繰り返し体当たりしようとした。そのため沿岸警備隊は射撃を加え、沈没させたという。

(つづく)



中国のアジア戦略が失速、日本への態度も軟化?

強硬な戦略がもたらした「不都合な結果」とは

2016.3.19(土) 古森 義久
中国の南シナ海開発は「平和損ねる」、ASEAN首脳会議で声明

フィリピン・マニラの中国領事館前で、南シナ海の南沙諸島で中国が進める開発工事に抗議する人々(2015年4月17日撮影、資料写真)。(c)AFP/Jay DIRECTO〔AFPBB News



 中国の習近平政権は、米国への挑戦的な戦略を進めるとともにアジアでの勢力拡大にも努めてきた。しかし、ここに来てアジア戦略は壁にぶつかり、修 正を試みるようになった。日本に対しても、この1年半ほど続けてきた安倍晋三首相「悪魔化」キャンペーンを減速させ、態度を軟化させる戦術を見せ始めた ――。


 米国のベテラン中国研究者から、中国の対アジア戦略の現状がこのように明らかにされた。

アジアでの影響力発揮を最大限に試みてきた

 前回の当コラム(「中国の『欺瞞』外交にオバマもいよいよ我慢の限界」)で、ジョージ・ワシントン大学のロバート・サター教授による3月9日の講演の内容を紹介した。


 サター教授は米国務省、中央情報局(CIA)、国家情報会議などの中国専門官として30年以上を過ごし、中国の対外戦略研究では米国で有数の権威とされている。

(つづく)

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