2016年11月



中国を軍事力で抑えにかかるトランプ氏

政策顧問が公表したトランプ氏のアジア政策の中身

トランプ氏勝利がアジアに投げ掛ける影、中国も困惑 米大統領選

南シナ海の係争海域に近いパラワン島に停泊中の米軍の沿海域戦闘艦フォートワース上で合同演習を行う米、フィリピン両海軍の兵士ら(2015年6月23日撮影、資料写真)。(c)AFP/NOEL CELIS〔AFPBB News


 米国次期大統領に選ばれたドナルド・トランプ氏の日本やアジアに対する政策はどのような内容となるのか。トランプ氏は、日本の防衛負担の拡大を求める以外にはほとんど語っていないため、日本側ではさまざまな憶測が飛び交っている。


 だが、トランプ陣営の正式の政策顧問が、「トランプ氏自身の考え」としてアジア政策の要点のいくつかを明らかにした。


 米国はドナルド・トランプ新大統領の下で、東アジアにおける中国の膨張的活動を抑えるために軍事力を増強し、日本との間では特に共同ミサイル防衛の増強を進める――。


 要約すれば、こんな趣旨となる。そこには日米同盟の堅持や中国に対する軍事的抑止の強化などが明確に盛り込まれていた。

オバマ政権のアジア政策を批判

 トランプ氏はこれまでアジア安全保障政策について、日本や韓国に現在以上の防衛負担を求めるということ以外にはほとんど明らかにしていない。

(つづく)


トランプ勝利で日本は今のままではいられなくなる

戦後の国のあり方が問い直される重大な事態

2016.11.11(金) 古森 義久
トランプ氏の喜びはオバマ氏の苦しみ

共和党のドナルド・トランプ氏(左)とバラク・オバマ米大統領(資料写真、2016年11月10日作成)。(c)AFP/Mandel NGAN AND Jim Watson〔AFPBB News


 米国の大統領選挙がついに終わった。共和党ドナルド・トランプ候補の勝利だった。


 トランプ氏が民主党のヒラリー・クリントン候補を破るという展開は、文字通り誰も予測できなかった。米国では巨大な衝撃波が広がった。


 トランプ氏はなぜ勝ったのか。トランプ大統領の誕生は何を意味するのか。今回の結果を私なりに総括してみたい。

オバマ政権が招いた閉塞感

 トランプ氏の勝利は、米国の大方の予想を裏切る展開だった。選挙の結果を占うときに誰もがまず頼りとする大手メディアなどの世論調査の数字は、ほぼすべてがクリントン候補の勝利を予告していた。


 これまで政治経験がなく暴言・放言の多かったトランプ氏は、母体であるはずの共和党内部でも反発されていた。クリントン氏の多彩な経歴と比べると、足元にも及ばない政治の素人でもあった。


 だが、そのトランプ氏がヒラリー氏を打ち負かした。当選には全米で合計270人の選挙人の獲得が必要だが、トランプ氏は290人を獲得した。クリントン氏が得たのは232人だった。

(つづく)

天皇陛下発言の政治的利用を許してはならない

独善的な解釈を堂々と掲載する朝日新聞

2016.11.2(水) 古森 義久
天皇、皇后両陛下パラオに到着 戦没者を慰霊へ

2015年4月にパラオに向けて出発される天皇、皇后両陛下(資料写真)(c)AFP/Toru YAMANAKA〔AFPBB News


 天皇陛下の「生前退位」をめぐる議論が波紋を広げている。

 この議論において、国民も政治家も絶対に避けるべきなのは、天皇陛下の発言を政治的に利用することだ。ご発言の「真意」なるものを自分の政治的な主張に都合のよいように曲解し、「天皇陛下は実はこう思われているのだ」と断じる政治操作である。


 なぜなら、天皇陛下ご自身が日本の政治には直接関与せず、あくまで中立の立場を保たれることが絶対に守られなければならない鉄則だからだ。


 日本国憲法第1章「天皇」の第4条は、天皇陛下は「国政に関する機能を有しない」と明記している。天皇は憲法の交付や国会の召集などの国事行為を委ねられていても、それらの行為はすべて「内閣の助言と承認」に基づき、「国民の総意」が大前提とされる。天皇はあくまでも内閣や国民が決めたことの儀礼的な手続きの実施にあたるだけである。つまりは、政治の実権には関わらない「象徴」なのである。


だから今回の「生前退位」も、天皇陛下は単に自らの退位を求められただけであり、その背景に政治的な意図や意思があるはずがない。あってはならないのだ。

(つづく)

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